PAPAZAMEです。
ちょっとすかした?タイトルですみません。そして、早速ですが、今日紹介する本はこちら。
川内有緒さんの、「パリでメシを食う」です。
読了したのが数ヶ月前なのですが、なんでこの本を読もうと思ったのかが、思い出せないんです。図書館で借りて読んだのですが、自分の借りた本の履歴を見ると、同じ頃に借りていたものが、海外、特にヨーロッパに関する紀行ものが多かったので、おそらくその方面に何か関心があったのだろう想像します。
最初、タイトルを見たときに、正直、「何かすかした感じだな」と言う印象を受けました。完全な我見なのですが、何か「パリ」って、ちょっとすかしたような響きがないですか?特に、日本人がいう、日本語の、「パリ」って。
きっと、パリで、何か仕事でバリバリ生きていく、あるいは、ミニマリスト的に自然体で生きている私、のような、そんな方法論や体験談的なものが書いてあるのかなと想像したんですが、読んでみると 全く異なり、ぐっと引き込まれてしまいました。
著書の川口有緒さんは、実際にパリで数年間、生活をされた経験があり、本書はその頃に出会った、同じくパリで生きる日本人のお話をまとめたものです。10名の日本人の方が紹介されていますが、その職業はもちろん、年齢、性別、そして何より、パリに流れ着いた理由が本当に様々で、これが面白いです。
ある人は壮大な恋愛がきっかけで、ある人は学校を中退して特技で流れついて、など。もとから、フランスに行こう、パリに行こう、っという人はほとんどおらず、本当にいろんな偶然と偶然が重なって、結果としてパリで生きている。
もちろん、人の人生なんて、短い文章で全ては表せないものですが、それでも川内さんの表現する文章が、とても率直で、なんというか、ひとりひとりの人間をねじ曲げずにそのまま書いているんですよね。川内さんという目のフィルターを通して。その10名の、思想や性格みたいなものが文章に溶け込んでいて、読んでいるだけでパリで暮らすどこかの日本人の人生を、追体験するような錯覚になります。
そして、その本を読んで知った人たちが、きっと今もこの地球のどこかで、やっぱり自分とは違う考え方や環境で生活してるんだなって思える読後感。そこから、なんか人生って、なんとかなっちゃうんじゃないかなっという、根拠のない自信みたいなものをもらえました。
あと、感じたのは、やっぱり人間には変えられない運命というか偶然があるんじゃないかなということ。一方で、それまでに努力を、それは、何か技術を磨こうとか夢に向かおうとかそういう類の努力だけではなくて、もっと広くて曖昧な、自分自身の生き方に素直に向き合っていこうとしてみる真摯さみたいなものが、ある種の偶然を引き寄せるのかなあと感じました。
私はまだ、ヨーロッパの上に降り立ったことがないのですが、向こう数年の間にぜひ行きたいなぁと思っていて、その最初の行き先はパリでもいいな、なんて、思わせてくれた本です。お勧めです。
Thanks